西原ワールド アート医研

人工歯根の基礎研究 -究極のインプラント-

srgjs-07アート人工歯根は従来のデンタルインプラント(歯科埋植物)ではありません。
本来の靭帯の関節を持つ釘植歯(哺乳類を定義する器官)の代替のハイブリット型人工歯根です。最初に成功した本格的ハイブリット型の人工器官です。インプラントとは概念が全く異なります。

 

 

 

 

 

 

生体力学から見た歯とは何か

歯とは、個体防衛の感覚器官の他に、咀嚼効果器官としての力学的特性がある。古生物学や系統発生学の知見による経験則と人工歯根をモデルとして有限要素解析を行った研究結果などを総合すると、乳動物の歯は生命を防御する感覚器官の変容した特殊器官であり、最適形状化システムを持ち、咀嚼力というmultiple forceを歯冠と歯根の形状と物性により歯がいったん負担し、歯周靭帯で主応力線を変換して顎骨に分散し、顎骨の皮質骨で負担させるVehicleシステムである。そして、歯周靭帯が主応力線の変換システムとして機能するとともに、栄養を担当する脈管系が靭帯組織と共同して衝撃を吸収する弾性体として機能するものである。歯の力学的特性を解明することにより顎骨にもWolffの法則を適用することが可能となる。
今日に至るまで歯という器官のこの重要な感覚器官特性と生体力学特性をあまり深く考慮しないで、約150年間にわたり歯の治療が行われていたのである。歯の力学的特性を明確に把握しないまま歯の治療や義歯の作製、歯列矯正やdental implantを実施したために予期できない問題が次々と発生したのである。
歯と顎骨とは生体力学的に相互作用を有する。この両者の力学的バランスが崩れると、歯列不正や歯周疾患、歯の挺出・動揺・義歯の破壊、鈎歯の動揺、顎関節症、顎変形症などを発生する。一方軟組織との関連では、口腔粘膜疾患やある種の良性腫瘍やときに悪性腫瘍が発生することもある。最適形状システムをもつ顎骨は本来遺伝的にはMonson球面に一致した咬合平面と放物線を示す歯列弓をもち、円滑な咀嚼サイクルを演ずる機械として設計されていると考えられているのであるが、この同じ骨組織のもつ最適形状システムにより機能の長期的偏りで、偏った運動に適合した形に変形する。骨が機能に従ってremodelingするためである。機能的偏りが長期に及ぶと変形も進み、ついには円滑な咀嚼サイクルの遂行に支障をきたす。
一方、歯も最適形状システムをもつことが経験則として知られているが、歯はremodelingのシステムをほとんどもたない。つまり、歯は遺伝学的な時間の長さで最適形状をとる器官なのである。歯は植立する部位により機能が異なるため、この最適形状化システムに従って歯冠と歯根の形状が部位によりことなるのである。骨も歯も遺伝的に、それぞれ機能に適合した最適形状をとる器官であると考えられているが、骨はそれ自体の長期的運動で機能適応形態をとるので、遺伝的に規制された形状から、機能的外力で二次的に変化するのである。歯のvehicleシステム、歯周組織の脈管構造および人間の顎骨と歯根の形態とを考えると、歯は長期に作用する側方力を支える機能をもち合わせていないことがわかる。歯列矯正術で、わずか20g~70gの持続性の側方力で歯を動かすことができるのはこのためである。歯と骨の生体力学的特性が把握され、歯列不正、歯周疾患顎・顔面の変形症、顎関節症、習慣性顎関節脱臼の本態が解明されれば、これらの疾患と治療と予防は容易かつ確実となる。
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A: 動物実験標本に認められる新生骨組織(矢印)
B: 同標本に近いモデルのMisesの相当応力分布図
C: 主応力線の分布図。主応力線は歯周靭帯で直行する成分に分離される。
新生骨は、適度な応力分布域(最大値の役1/100、最小値の100倍程度)に一致し(図A矢印)、骨柱の走行は主応力線に一致している。

アートシステム人工歯根療法

本療法は、生体力学を医学に導入した最も進歩した治療の施術法です。
アート研究会会長 西原克成

チタン人工歯根周囲に形成される固有歯槽骨と骨梁

チタン人工歯根周囲に形成される固有歯槽骨と骨梁

セメント質の光顕写真(脱標本)

セメント質の光顕写真(脱標本)

生体活性セラミクス人工歯根に付着する歯周靭帯とセメント芽細胞の光学顕微鏡写真(写真1,2)、およびセメント芽細胞のSEM像(写真3,4,5)

生体活性セラミクス人工歯根に付着する歯周靭帯とセメント芽細胞の光学顕微鏡写真(写真1,2)、およびセメント芽細胞のSEM像(写真3,4,5)

鼻腔

(1)は成犬の上顎に植立した人工歯根 右側は天然歯を示す。天然歯根の支持骨にみられるように、歯は極めて繊細な骨組織で支えられている。 釘植型では固有歯槽骨がリモデリングできます。

鼻腔

(2)は画像(1)鼻腔の拡大図

人工歯根

画像(3)にみられる人工歯根に平行の主応力線は歯根面に平行の固有歯槽骨を形成し、直角に走行する主応力線は固有歯槽骨に付着する骨梁(B)を形成する(成犬、植立後7ヶ月)

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分析結果より、歯周靭帯で変換された主応力線は平行なものは固有歯槽骨を通って歯頸部で大きく方向を変えて顎骨の皮質骨を走行し、直角に走行するものは、固有歯槽骨に付着する骨梁を通ってやはり顎骨の皮質骨に到達してここで終わる。
つまり歯は、咀嚼力をvehicleとして受け取り、生ずる主応力線を歯周靭帯で変換し、顎骨で負担するシステムであることから明らかにされた。歯と顎骨の形態と歯周組織の構造から歯は持続性、反復性の側方力に対抗するシステムをもたないことが明らかである。歯に加わる咀嚼力は、ある種の変換システムで変換され分散されると、歯根周囲の骨が主応力線の走行に従ってremodelingされる。つまり、歯周部の骨組織がWolffの法則に従って形成されているのである。歯と顎骨の形態と歯周組織の血管構造から考えて、歯は間歇的な強い咬合力を支えることはできるのが、持続性の咬合力や側方力(間歇的・持続的ともに)を支えることができないことがわかる。

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アートシステム人工歯根の形状

人工歯根のような機械臓器は材料の研究以外に形状の研究が必要です。アートシステム人工歯根は有限要素の解析による形状効果の研究に基づいて開発されました。

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骨性癒着の人工歯根と、線維結合様式の人工歯根とでは歯の機能が全く異なります。主応力線の分布では、骨に癒着する歯は、歯根を通った主応力線(Principal stress trajectory)はそのまま連続体として骨に流れます。つまり顎骨と歯は一体として咀嚼力に対応することになります。しかし骨と人工歯根はヤング率やポアソン比(Poisson’s ratio)の相違が大きいので、無荷重のときや小荷重下では骨と歯根が癒着していますが、大きな荷重が反復すると必ず界面離開を生じます。これは約30数年前に数理計算によって材料工学において明らかにされております。
線維結合組織を付着する人工歯根の主応力線の分布の解析によれば、応力を歯根が先ず負担し、二次元有限要素解析の結果では、歯周の線維組織で主応力線が直交する二成分に変換されます。変換された主応力線は、平行なものは固有歯槽骨を作り、直角に走行するものは隋腔内の骨梁を作ります。
固有歯槽骨内を走行する主応力線は、顎骨の皮質骨に連なります。また、固有歯槽骨にも付着する直角に走行する骨梁を通る主応力線も、やはり顎骨の皮質骨に達します。つまり歯冠に加わる咀嚼力はすべてが顎骨の皮質骨で負担されているという、極めて特殊な力学機能体システムをもつといえます。

本形状は釘植関節型・骨癒着型とも国際特許を取得しております。


人工歯根に関する研究論文