西原ワールド アート医研

健康づくりのおはなし

健やかな毎日を送るための生活習慣

第14回■鼻呼吸と美呼吸でからだに活力をみなぎらせる
鼻呼吸を妨げる日頃の癖を治すことから始める
口呼吸は万病のもとで様々な弊害を引き起こします。口呼吸を鼻呼吸に改善するだけで簡単に健康の維持と増進が得られます。先ず、どのような悪い癖があるかチックし、自身の鼻呼吸度を把握しておきましょう。
以下のような癖がないかを、自分でふり返ってみてください。
・口をあけて物を食べる
・片側の歯だけで食べ物を噛む
・頬杖をつく
・横向きか俯せに寝る
・冷たい食べ物や飲み物を好む
こうした癖は歯列の乱れを招き、鼻腔内が横向きや俯せ寝のためにうっ血し、また低体温になるために鼻閉となり、鼻呼吸を行いにくくします。思い当ればすぐにやめるようにしたいものです。

ガムや鼻呼吸グッズをうまく利用しながら口呼吸を改める
さて、以上の前提をクリアしたら、口呼吸を治す処方に移りましょう。
いちばん手軽なのは、ガムを噛む訓練です。口唇を閉ざして1日3回ほどガムを噛みます。そして1回に噛む時間を徐々に延ばしていき、1回に1時間くらい噛み続けるようにします。これにより顔面表情筋が鍛えられ、これまで開きっぱなしだった唇が閉じやすくなります。また、血行が良くなり鼻の通りもよくなるために、口を閉ざしても苦しくなく、鼻呼吸の習慣が身についてきます。鼻はもともと空気の通る器官ですから、使えば鼻づまりの解消につながります。ガムを噛んでいない時は、自分で意識的に鼻呼吸をするようにしましょう。
さらにわたくしが考案した鼻呼吸5点グッズ(ノーズリフト18K、美呼吸トレーナー、ブレストレーナー、美呼吸テープ、ダウンふわふわ枕)を併用すれば短期間で口呼吸から鼻呼吸にする手助けになります。
ノーズリフト18Kは、鼻を強制的に下から持ち上げて鼻孔を広げ、空気の通りをよくします。美呼吸トレーナーやブレストレーナーは睡眠時に装着する、いわば大人のおしゃぶりで、陰圧の作用で無理なく口を閉じるようにし、眠っているあいだの鼻呼吸を促します。美呼吸テープは就寝時に口に貼る口唇テープで、口閉じの習慣づけに役立ちます。ダウンふわふわ枕を使用すると、横向き寝や俯せ寝でも頭の重さが吸収されるため鼻が通り鼻呼吸が維持され、また顔の変形の防止になります。

横隔膜をうまく使った美呼吸で元気をみなぎらせる
美呼吸とは、バンザイ姿勢を取り尿道と肛門を閉ざして、胸郭を大きく膨らませ、同時に横隔膜を頭側に吊り上げてたっぷり空気を吸い、十分な酸素を体内にとり入れる呼吸法です。横隔膜は胸腔と腹腔を区切っている筋肉性の膜で、肺の呼吸運動を助けています。これを引き上げたり、もとの位置にもどしたりをくり返すことで、胸骨が開き、皆さんもよくご存じの腹式呼吸以上にたくさんの空気をとり込むことが可能になります。すると酸素摂取量も必然的に増加し、酸素が全身の細胞にいきわたり、エネルギー産生が促進されて体中に元気がみなぎってきます。また、横隔膜を動かすことにより内臓も同時に動いてマッサージされ、内臓の働きが活発になります。鼻呼吸を心がけるとともに、ちょっとした時間を見つけて美呼吸を行い、元気な毎日をすごしてください。


第13回■口呼吸を鼻呼吸に改善して健康になる
人間だけに可能な口呼吸はこんなに弊害をもたらす
「呼吸法(外呼吸の仕方)」について改めて言うまでもありませんが、人間が生きていくうえで呼吸は不可欠です。食べ物を食べなくても水を飲まなくてもすぐには死にません。然しながら呼吸が5分も止まれば死んでしまいます。ほかの哺乳類は口で呼吸することができないにもかかわらず、人間だけ(1歳以降)は鼻でも口でも呼吸することができるのです。
これは、人間が言語を習得するとともに口呼吸も覚えてしまった結果です。人間は口から空気を吐きだすことで言葉を話せるようになり、口呼吸もできるようになったのです。しかし、人間のからだの構造上、口は消化器官であり飲食物の通り道であって、呼吸器官としての機能はもちあわせていません。従って、鼻で呼吸していれば起こらないような弊害が、口呼吸によっていろいろと生じてくるのです。
詳しい説明は省略しますが、口呼吸でおこる弊害には、おもに次のようなものがあります。
1. のどが痛くなる
2. のどをとおして細菌やウイルスに感染しやすくなる
3. 免疫力が低下や異常をきたし、免疫病を招きやすくなる
4. 口の中が乾いて、細菌やウイルスが侵入しやすくなる
5. 口の中が乾いて、唾液による消化機能が低下し、歯の健康が損なわれやすくなる

鼻には4種類の大きな空洞の副鼻腔があり、その内腔はすべて呼吸粘膜で覆われておりここでも酸素が吸収されます。鼻孔の皮膚には鼻毛があり、鼻腔内は繊毛のある呼吸粘膜で覆われています。鼻腔に入った空気はすべて4つの副鼻腔を通って肺に入るため加温・加湿されるとともに空気が清浄化されます。つまり鼻は優秀な加湿器・空気清浄機といえるのです。人体にとって有害な異物を消化して生体を感染から守る機能さえ備えています。鼻は空気を人体にとってやさしいものにするという大切な役割を担っているのです。その鼻を通さずに口で呼吸することの怖さがわかります。呼吸は、鼻で行うのが正しい方法なのです。

口呼吸していないかチェックしてまずは現状を知ろう
さて、あなたは胸を張って「私は鼻呼吸をしています」といえるでしょうか。呼吸は、意識することもなく当たり前のように行っているので、よくわからないと思います。現状を知ることから、口呼吸から鼻呼吸への改善は始まりますので、まずはチェックしてみましょう。以下の項目のうち、1つでもあてはまれば、口呼吸をしている可能性は大きいといえます。
1. 朝起きたときに、のどがひりひり痛む
2. 食べるときに、くちゃくちゃと音をたてる
3. いびきをかく
4. いつも唇がかさかさしている
5. 下唇が上唇より分厚い
6. 他人からよく口が開いているといわれる
7. 前歯が出ていたり、あるいは歯にすきまが多い
8. 上下の歯の噛み合わせが逆になっている
9. いつも同じ片側の歯で噛むくせがある
10. 横向きか俯せで寝る

結果はいかがでしたか。ほとんどの人は、思いあたる項目があったのではないでしょうか。呼吸の仕方によって健康度には大きな開きがでてきます。自分の口呼吸に気づいたら、さっそく鼻呼吸への改善を開始したいものです。

鼻呼吸に改善すれば健康になるばかりか容貌まで変わる
口呼吸から鼻呼吸に改善することは容易ではありませんが、そうすることによって確実に健康度が増します。さらに、きれいでよく加湿された空気が肺に入ることで呼吸しやすくなるとともに、酸素がからだの中にたくさんとり入れられて脳の働きもよくなり、頭がすっきりしてきます。しかも、鼻呼吸は容貌にもよい影響を与えます。だらしなく口をぽかんと開いた顔がきりっと引きしまり、頬などの顔の筋肉が強化され、たるみも解消されます。そして、人のからだの筋肉は連動していますから、顔の筋肉が強化されると、それにつながる首や背中、胸、お腹のたるみもなくなってきます。また、猫背も直って姿勢がよくなります。すると猫背にともないがちな胸式呼吸をしなくなり、深い呼吸でたっぷり空気が吸えるようになって健康増進につながるという良循環が生まれます。


第12回■腸を十分に温めて「こころ」をよみがえらそう
「こころ」は脳ではなく内臓から発生する
内臓移植を受けたら「こころ」がドナーのものに変化した
「心」という文字は心臓の象形を表記したもので、からだの中心を示し、生命の本質を表します。大和ことばの古語で「こころ」とは内臓のことをさします。そしてわが国では近世までこころと魂は内臓に宿ると確信されていました。それでは生命体がもっているこころとはなんのことでしょう?それは「生きる意欲」のことです。従って、こころは単細胞動物にも当然存在します。高等な哺乳動物ではこころの宿る細胞は、原始型をとどめている白血球とそれを生みだす腸管内臓系の細胞です。
欧米でしばしば行われている内臓移植で、とくに心肺同時移植の症例において、移植を受けたヒトのこころがドナーのこころに変化する例が報告されています。ドナーの名前までが夢で明らかとなってしまった実際の報告例が『記憶する心臓』(角川書店)として出版されています。私はこの実例と進化学に基づいて『内臓が生みだす心』(NHKブックス)を著しました。

こころや精神はエネルギー活動の高次の様態
こころと精神は、人間でもっともよく発達しています。しばしば、顔とこころ、からだと精神と対で称されます。こころは内臓筋肉のはたらき(うごめき)が生みだす生命エネルギーで、前述のように生きる意欲のことです。精神とは、体壁系(骨格筋肉系)の筋肉のはたらき(動き)によって生みだされる、計算を中心とした思考力のことです。思考力もその源はやはり内臓筋肉のうごめき、つまり心を中心とした働きに基づいています。そして顔の筋肉は、元来すべて呼吸内臓筋肉に由来しているので、顔がこころのあり様を示しているということなのです。
こころも精神も思考も、体温と同じエネルギーです。エネルギーとは質量のない物質のことです。「こころは脳の中の現象であるというのが常識です」と言われる方がいらっしゃいますが、はたしてそうでしょうか。こころとは細胞生命体の本質のことで生きる意欲のことですから、生命力のことです。そして免疫力とは、疫病ないし疾病をまぬがれる力ですからこれもまた生命力と同じことです。つまり免疫力とは自己・非自己を区別する力ではなく生命力のことで、エネルギー代謝とともにおこるリモデリング(同化・異化=新陳代謝)のシステムのことです。こころや精神というのはこの免疫(リモデリング=生命)システムと連動しておこるエネルギー活動の高次の様態をさします。
こころや魂の主要部はなんと腸管内臓系にあった
2千数百年前にヒポクラテス(「医学の祖」と称される古代ギリシャの医師)は「外界と意識との仲立ちをするのが脳である」と述べていますから、現代生命科学の常識よりは、はるかに正確です。
今では、こころと意識と感覚と感情、思想と情動、考え・思考と情念、精神と霊と魂がごちゃまぜになっていますが、認識と意識とこころと精神と思考は、それぞれ微妙に異なります。たとえばヒトの死について考えてみましょう。戦で武将が死んだとします。一般に死は悲しいことですが、敵方にとっては、大変うれしいことです。つまり死という外界の事件を脳が認識しても、脳の源となる腸管と体壁筋肉の身体の所属する陣営や立場によって発生するこころは違うのです。
単なる脳内現象なら、ある事象を眼や鼻、耳をとおして脳が感知すれば、必ず同じ反応、つまり同じこころが発生しなければなりません。ある色が好きなヒトと嫌いなヒトがいることも説明できません。色ひとつにしても、同じ個体においてすら生命体(肉体)のおかれている状況によって発生するこころは変化します。そして、こころや魂は生命体にあるものの、その主要部はなんと、腸管内臓系にあるのです。腸の好みですべてが決まります。
これは脳の一部を移植すれば検証が可能です。私は円口類(ヌタウナギ)の脳をアカハライモリ20匹に移植して数か月間飼育したことがあます。また、サメの大脳(内臓脳)を6匹のラットの大脳部に移植しましたが、イモリもラットも何事もなかったように平然と生きていました。脊椎動物は、最初に腸から発生し、脳が驚くほど進化したあとの段階で体壁の筋肉系が腸管主導のもとにできてきました。腸にそなわった神経と腸を覆う体壁系の表層の皮膚の部分にそなわった神経の合体したものが脳になります。戦のときは、腸の所属する陣営いかんによって生存するかしないかが決まります。そのため腸の所属によってこころも決まるのです。腸のありようによって、こころは決まるということです。腸を冷やすと冷血漢になります。ですから、腸を十分に温めてあげれば、やがてこころもよみがえります。

第11回■心もからだの健康も「体温」で決まる
うつ病も神経症も精神科の患者さんは一様に低体温症
某大学の精神神経科の教授と体温について話をしたことがありました。「活動期の感染症を除くほとんどの免疫病患者は、低体温ですね」と私がいいますと「統合失調症もうつ病も慢性疲労も神経症も、精神科の患者さんはみな一様に低体温です」とのことでした。精神神経活動や心の活動と体温は密接不可分の関係にあるのです。統合失調症の人はかぜを引きにくいといわれます。一般に低体温の人は、子どもも含めて自家中毒やかぜになりにくく、にもかかわらず睡眠障害や不活発、不調を訴える傾向があり、血液疾患を患うことも多いのです。
さて、体温はどこでつくられるのでしょうか。体温は細胞呼吸を行っている小器官であるミトコンドリアで発生します。冬眠する哺乳動物と赤ちゃんには、ブラウンファットという、ミトコンドリアが脂肪細胞にぎっちり入っている組織が沢山あって、ここでせっせと体温となる熱をつくっています。赤ちゃんでは、1時間に約7億個の細胞が分裂していますから、体温が腸温で37・5℃は必要です。冷中毒(冷たい飲食物を頻繁にとる習癖)で腸温が34℃くらいになると、大変なことがおこります。ミトコンドリアのは働きには温度依存性があって、1℃でも下がるとはたらきがにぶり、そして2~3℃下がると免疫システムが完璧に冷血動物と同じになるため、腸内の常在微生物を排除できなくなるのです。

免疫力は白血球内のミトコンドリアの代謝に依存している
免疫力というのは細菌やウイルス、異物、毒物に対する白血球の消化力・同化力のことですが、その本態はすべて白血球内のミトコンドリアのエネルギー代謝に依存しています。
昔から低体温による手術療法がありましたが、そのことごとくが感染症をきたして失敗していたのでした。近年、これを解決したのが脳蘇生の手法です。これまでは、体温を3℃下げて脳の血管障害を手術してから、いきなり平熱にもどすと、みな敗血症(病巣に由来する細菌が血液中に入り、全身をめぐる重篤な感染症)で死んでしまいました。詳しく調査した結果、腸内細菌が大量に血液リンパ液内に充満していることがわかりました。しかも白血球は、低体温では冷血動物と同様に細菌を退治(貪食・消化)しないのです。
そこで手術前に腸を徹底的に洗浄し、手術後もゆっくりと抗生物質を点滴しながら体温を少しずつ少しずつ何日もかけて上げていったところ、生還できるようになったのです。

精神神経活動もミトコンドリアの働きによる
体温とは正常に活動しているミトコンドリアのつくりだす温熱エネルギーです。言葉や精神・心も体温と同様に質量のないエネルギーです。哺乳動物のもっとも高次の精神神経活動も心の働きも、すべて内臓脳(大脳辺緑系:内臓のはたらきを司る脳細胞)および腸管筋肉系と体壁脳(大脳皮質錘体路系および錐体外路系:外界を感じ骨格筋を動かす脳細胞)-骨格筋肉系の共役的活動に際しての細胞内のミトコンドリアのはたらきに依存しているのです。
統合失調症は体壁系神経・筋肉系のミトコンドリアの障害で、体壁脳系細胞(=ニューロン)の細胞内感染症によってミトコンドリアがだめになっていると思われます。片頭痛は冷えた腸の酸素不足でも内臓脳の細胞内感染症でも起こると考えられ、これがすぎるとうつ病になります。さらに腸を冷やして腸の筋肉・神経のミトコンドリアが死んでしまうと、内臓脳のミトコンドリアも崩壊し、代謝がうまくいかなくなります。これが今日本とアメリカに多いアルツハイマー病です。日本では冷やしすぎたビール(4℃)、アメリカでは毎食後に食べる大量のアイスクリームが深く関与しているものと考えられます。
今、過呼吸症、過食症・拒食症、心臓神経症、パニックシンドローム、止まらないしゃっくりなどが増えていますが、これらも端末器官の細胞内の細胞小器官のミトコンドリアの障害に引き続いて発生します。精神神経疾患と、脳神経筋肉系の障害の中間に位置するのがこれらの病気です。
そしてALS(進行性筋萎縮性側索硬化症)、多発性筋炎、線維筋痛症、小脳脊髄変性症、パーキンソン病などの神経筋肉疾患の原因もやはり口呼吸(本来なら鼻を使うべき呼吸を口で行うこと)と冷中毒と睡眠(骨休め)不足と考えられます。冷中毒でない方もこれに準ずる常温水や野菜ジュースを大量に(1~2ℓ)飲んでいます。
いかに口呼吸と冷中毒と睡眠(骨休め)不足が恐ろしいかがおわかり頂けるかと思います。


第10回■丈夫な「三つ子の腸」が一生涯の健康を約束する
妊娠したときから腸の善し悪しは決まり始める
子どもが完成する2歳半までに培われた魂は一生涯を左右するというのが、「三つ子の魂百までも」という諺の意味するところです。また、人の一生涯の健康もまた「三つ子の腸」で決まります。
それでは三つ子の腸はいつ、何によってその良否が決まってくるのでしょうか? じつは母体が妊娠したときから、乳幼児の腸の善し悪しは決まり始めます。さらに授乳期間中の母体の健康状態や食べ物の内容と温度・食べ方などに影響されるとともに、赤ちゃんに離乳食を与え始める時期(早すぎないか)と赤ちゃんの呼吸のあり方(口呼吸か鼻呼吸か)に強く影響を受けます。

胎児のためにも気をつけたい冷たい物と睡眠不足
生後7か月になる心室中隔欠損症の手術を終えた子の離乳食・おしゃぶり・手足の冷えなどについて相談を受けたことがあります。
受胎後30日(1か月)くらい経った頃から1週間ほどの間に冷たいビール(4℃)を大ジョッキで飲んだり、仕事が多忙で数日間を3~4時間の短時間睡眠ですごしたそうです。ひどい骨休め不足です。
骨休め不足をすると、重力エネルギーの作用で、骨髄造血系が障害されて母胎が酸素不足に陥り、胎児は内臓奇形を発症することがあります。妊娠中の悪阻は腸の酸素不足でおこると考えられます。ですから妊娠初期に冷たい物をいっさいやめて腸を温め、コウケントー(人工太陽光線)を照射し、口呼吸を鼻呼吸に改めると、悪阻はおこらなくなります。
妊娠中に冷たい物を多量に飲食すると、未消化の抗原性のある食品のみならず細菌までが腸管からリンパろ胞に吸収され、白血球が多量の細菌を抱えて顆粒球となりこれが胎盤を通過します。その結果、胎内の赤ちゃんのからだは抗体やバイ菌に汚染され、胎便までもが感染してしまいます。生後母乳でアトピーになるのは、こうした母子に少なくないのです。
母親が常温の水(夏で26℃)を一杯飲んでも、冷たいスイカを食べても5分後には、徴菌だらけの母乳がでます。母親がアトピーや緑内障、喘息、腸炎、下痢や便秘、歯周病や口呼吸で免疫病にかかっていれば、血中に腸内細菌が蔓延していますから、その母乳で赤ちゃんの腸はだめになり、アトピーや尿路感染症、喘息や中耳炎になります。
このような母乳や36℃以下のミルクを飲まされている子はもとより、早期に離乳食を無理やり口に入れられる子は、腸がこわれて緑優になるとともに低体温になり、凶暴になり物を投げつけたりかみつくなどの問題行動をとったり強度の夜泣きをしたりします。
生命とは、外界からエネルギーとエネルギー源の酸素と栄養を受け、その力で自らのエネルギーの渦をめぐらせながら、細胞のパーツか細胞丸ごとか、個体全体をつくり替えるシステムです。赤ちゃんも、母の心臓ポンプの力で母体から酸素と栄養というエネルギー源をとり込み、健やかに育つのです。
胎児は胎生3か月になると1日に約11g増えます。1時間に約0.45gで4.5億個の細胞が分裂、増殖します。赤ちゃんの細胞のミトコンドリアがこれらに必要なエネルギーのすべてをつくっています。このとき母胎の腸が酸素不足であったり、冷中毒で36.5℃以下になっているとパイエル板のM細胞から細菌やウィルス、抗原性たん白質が扁桃ろ胞内の白血球に入り、リンパと血中をめぐります。妊婦では胎盤を通過する少量の汚染された白血球により胎児が汚染されるため、腐敗した胎便により赤ちゃんが感染した状態で生まれます。さらに汚染された母乳を飲むと、母乳で赤ちゃんがアトピーになります。

赤ちゃんにはよい母乳を与えて温かく育てる
36歳の女性が顔の変形症と歯列不正の矯正を希望して受診されたことがあります。顔色不良で生理痛があり、結婚10年にして赤ちゃんができないといとのことで、正しい呼吸に導き、睡眠姿勢を上向きに正し、コウケントーの照射を行い、冷たい物中毒を改め、3分間の美呼吸体操(筆者考案の呼吸法)を1日3回行ってもらい、歯列矯正も実施しました。生理痛はすぐに治り、顔とからだの変形も歯列も治り、体調がすっかり正常になり1年が経過すると、めでたく妊娠しました。
妊娠中も光健燈を使い上向き寝を指導し、美呼吸体操を続けてもらったところ37歳で初産にもかかわらず理想的な安産でした。経験豊富な助産師による出産をすすめ、胎盤をもらってサイコロ大にして冷凍保存し、食べるように指導しました。これを食べると急に力がわいて、母乳も大量にでて元気になり、産褥を難なく克服できました。あとは赤ちゃんを健やかに育てるために、よい母乳を与えて赤ちゃんの耳・足・腰をつねに温めるように指導しました。
よい母乳のためには、白米と煮た野菜、新鮮な魚の煮たもの等の和食中心のバランスの良い食事を30回両側の歯で咀嚼して食べ、ビタミン、ミネラルをサプリメントなどで補充することをお勧めしています。玄米、そば、カレーやキムチなど香辛料の強いもの、パンやうどんなどの小麦製品、アイスクリームなどは厳禁です。
赤ちゃんは2歳半まで母乳ないし乳児用ミルクで温かく育てることが肝要です。赤ちゃんは1時間に約7億の細胞が分裂しています。この活発な細胞分裂には、体温が37.5℃くらいは必要です。人の皮膚と内臓とは毛細血管を介して自律神経系で繋がっていますから、皮膚を冷やせば赤ちゃんの内臓はすぐにだめになってしまいます。冬でも夏でも赤ちゃんはつねに皮膚を温めてあげれば機嫌がよく、腸も丈夫に育ちます。こうすれば一生涯の健康が約束されます。


第9回■「三つ子の腸」は悪くすると、一生涯その子を苦しめる
「健康」は呼吸・食事・睡眠で決まる
ヒトが生きていくうえで大切なのが呼吸・食事・睡眠です。どれ一つが欠けても生きていくことはできません。したがって「健康」は、これらの3つで決まります。これらに共通するものはなんでしょうか?「エネルギー」です。これまでの健康論はどれもエネルギーの視点が欠けていたようです。「生命とは何か?」の定義があいまいで、生命現象が質量のある物質としての面だけで論じられ、エネルギーの視点が完全に欠けていたのです。

ヒトの子は2歳半までが授乳期間にあたる
生命とは「たんばく質・核酸・糖・脂質などのコロイドからなり、リン脂質で境された水溶性の有機個体内で、エネルギー代謝とともに、個体のパーツまたは個体全身のリモデリング(新陳代謝)をし、これにより老化を克服するシステム」です。個体丸ごとのリモデリングが遺伝現象で、通常は生殖を介します。生命の維持には体外からのエネルギーと酸素を含む栄養の補給が必要で、さらにリモデリングタイムが必要です。「呼吸」が酸素摂取およびエネルギー代謝を司り、「食事」が栄養補給で、「睡眠」がリモデリングタイムです。
ヒトの一生は赤ちゃんの時の食べ物と食べ方に大きく影響を受けます。早い離乳食はアトピー性皮膚炎の大きな原因の1つであり、スプーンで柔らかいものばかりを早くから与えれば丸呑みで噛めない子になります。我々も哺乳類の一因ですから、まずは哺乳動物の定義を明確にしておきましょう。哺乳動物とは「やがて咀嚼と臼磨(噛んで砕いてすりつぶす)による摂食様式に移行する哺乳吸啜システムをもって生まれる脊椎動物」です。そのため、外呼吸器と顎口腔・胃腸のつくりが両生類・爬虫類・鳥類と根本的に異なります。鳥やワニは砂や石を丸呑みして、胃の中でこれらを使ってつぶしますから丸呑みに適した顎と咀嚼胃をもっています。これに対して、哺乳類の成体は顎でよく噛む咀嚼器官と塩酸を分泌する腺胃をもつため、よく噛めないヒトは病気になりがちです。
とくに注意を要するのは、ヒトの赤ちゃんです。哺乳動物の赤ちゃんは、種によって授乳期間が決まっています。これは腸の発達と深く関係します。動物学的にヒトの子は2歳半までが授乳期間です。それ以前は腸が未完成なのです。ゴリラは2歳まで母乳のみで育ちますが、これはヒトの4歳に相当します。犬でもヒトの子でも、腸の未完成な授乳期間中に誤ってたんばく質やでんぷんの離乳食を与えると、腸内細菌叢が変化して緑便をきたし、低体温とアトピー性皮膚炎や喘息を招来することがあります。

早すぎる離乳食が生みだす口呼吸と丸呑み
こうした赤ちゃんの腸の特性を明らかにしたのは、1976~1978年にアメリカでおこった乳児ボツリヌス症事件です。これは蜂蜜のなかに混入していたボツリヌス菌の芽胞を食べた1歳未満の赤ちゃんが発症して死亡した事件です。母乳で育っていた赤ちゃんは死なずにすみました。また1歳以上の子もほとんど問題なかったのですが、アメリカではこの事件以後、早期に離乳食をすすめるスポック博士の育児法を追放し2歳過ぎまで母乳中心に育てる、昔の日本式に改めました。しかし日本では昭和55年の母子健康手帳に100%スポックの育児法が導入され、生後5か月で離乳食がはじめられ1歳で母乳が追放されることになりました。
この事件を調査してはっきりしたのが、哺乳動物の母乳と赤ちゃんの腸の特徴的な関係です。母乳には、たんばく質がほとんど含まれておらず、アミノ酸かペプチドと糖、脂質で、たんばく質はヒトカゼインと母親のIgA(免疫たんばく質A)だけです。カゼインだけは赤ちゃんの弱い胃液でも消化できます。母乳のIgAは、消化されずにそのまま吸収されます。また赤ちゃんが、口のなかで唾液と混合するいとまもなく、ごくごくと飲み込んだものは、その腸がたんばく質でもバイ菌でもその芽胞でもなんでも吸収してしまいます。ですから生後5~6か月から離乳食を与えると腸がこわれて緑便をきたし、腹が苦しいためうつぶせ寝になり、同時に鼻が塞がって口呼吸になって低体温児となります。
2歳半まで吸啜で育てなければいけないときに、スプーンで離乳食を与えると、口呼吸が始まり、同時に噛めないために、丸呑みが始まります。そしてたんばく質や腸内細菌が吸収されてアトピーや喘息となります。「三つ子の腸」は、悪くすると一生涯その子を苦しめます。噛めない丸呑みのヒトとして、免疫病などに苦しむ生涯を終えることになるのです。

第8回■口呼吸、片噛み、悪い寝相、頬杖が変形症や免疫病を招く
歯列に作用する「内外の力」により歯並びがゆがむ
健康は食べ物にも、食べ方にも、食べ物の温度にも左右されます。そして、食べる装置である「咀嚼器官」の噛み合せからも影響を受けます。
昔多かったむし歯は減少傾向にありますが、代わって歯並びの悪い子どもが急増しています。成人も加齢とともに、歯並びが悪くなり、歯周病も増える傾向にあります。昔は美男美女だったが、虫歯や歯槽膿漏で歯を抜かれ、昔の面影はすっかりなくなったという方も少なくありません。子供の悪い歯並びはもちろんのこと、歯周病と歯の欠損症、顔とからだのゆがみは、どれも同じ原因で起こります。歯列に作用する「内外の力」によって歯並びがゆがみ、乱ぐい歯、出っ歯やそっ歯、受け口になり、顔がつぶれ、同時に背骨が曲がり、骨盤がゆがむのです。

頭の重みとかたい枕および悪い寝相で歯型がゆがむ
歯や骨に作用する「内外の力」をもたらすのは、口呼吸、片噛み(片側の歯でばかり噛んで食べる習癖)と悪い寝相(横向きや俯せ寝)や頬杖です。口呼吸で出っ歯やそっ歯、開咬(奥歯を噛んでも前歯が合わない状態)になり、片噛みでは噛む側が縮んで噛まない側がたるみ、ひいては噛む側を下にする寝相へと連鎖しますから、顔がつぶれ、背骨が曲がって骨盤もゆがみ、睡眠中のいびきや口呼吸・無呼吸を招いて、変形症とともに免疫病を発症します。
寝相で歯型がゆがむのは、頭の重さが5kg程度あり、日本の枕がかたいためです。この条件下ですと、1本の歯に50gから200gの力が加わることになります。歯列矯正の2~20倍の力が4~8時間作用しますから、一晩で歯は約30ミクロン動くことになります。そしてあるとき臼歯がぐらぐらになると、歯周炎を併発します。ここで歯科を受診すると、この歯は抜かれることになります。しかし、このぐらぐらの歯を結紮して、寝相を正せば、歯は抜かれることなく20年、30年と使うことが可能になります
ヒトの体は「からだの使い方」次第で、生育の限界を超えないかぎり、使えば発達し、使わなければ萎縮します。これがラマルクの「用不用の法則」で、この法則にしたがって、からだや顔の形も決まってきます。主として筋肉と骨でできている人の体は「内外の力」で形が決まりますから、これを生体力学といいますが、正しい呼吸、寝方、食べ方が重要なのです。

変形した顔と歯型は同時かつ短期間に歯を抜かずに治せる
噛(咬)み合わせがつぶれて、どんなに工夫してもよく噛めないほど顔やあごが変形している人がいます。これを「咬合の崩壊」と呼びます。咬合の崩壊は野生の動物にはありません。人類だけができる口呼吸と、人類の発明したかたい枕と、寝方の癖で頭の重さが顔や顎、歯にかかるために噛み合わせがこわれるのです。
歯科大学では歯列不正は歯科矯正科で、歯周痛は歯科保存科で治療し、歯の欠損は歯科補綴科とインプラント科で治します。しかし、外力で生じた歯の動揺や変形あるいは顔や顎のゆがみですから、本来なら一人の医師が歯型から顔の形まで治すべきでしょう。
歯列不正も歯周病も歯の欠損も、従来、生体力学エネルギーの源の寝相・片噛み・口呼吸を無視して治療していたため咬合の崩壊が治せなかったのです。このラマルクのいう「生育の限界」を超えた、悪い習慣によるからだの使い方で、法則性をもって変形症が起こっていたのですから、寝相、食事の仕方、呼吸の仕方を正すなど、その道の力を正しく作用させれば、予防と治療になります。


第7回■免疫病は腸内の常在菌がばらまかれておこる
腸内の菌がばらまかれておこる難病が少なくない
口呼吸と冷中毒で、腸内の無害な常在菌が腸扁桃のリンパろ胞から白血球にとり込まれ、体中にばらまかれると、まず腸が影響を受けます。
これで高率に障害されるのが、腸管(小腸・大腸)、および腸に由来する器官である肺と心臓、生殖器です。そして、腸内の無害な常在菌があらゆる器官に細胞内感染をおこすのが難病・免疫病の実相であると、私は考えます。
哺乳動物の腸内には、無害な常在菌がおびただしい数で共生しています。高等動物の腸管には有害・無害にかかわらず微生物をとり込んで消化して抗体をつくる装置が、気管、肺、胃腸、子宮、尿道、膣、口腔、鼻腔、内耳、泌尿器、肛門の粘膜下組織のいたるところにあります。
ヒトのからだは、バイ菌を捕らえて消化してから、抗体の免疫たんばく質(イムノグブリン)をつくります。腸扁桃のリンパろ胞のM(マイクロフォールド)細胞には、このバイ菌のとり込みと消化吸収・免疫たんばく質の産生のシステムがあります。しかし、口呼吸と腸を冷やすことによって、ここがバイ菌のとり込み機能のみとなると、抗体産生能は麻痔してしまうのです。

ミトコンドリアのはたらきがそこなわれる
こうして、とめどなく無害・有害のウイルスやバイ菌が、寝ている間に喉の扁桃や腸のパイエル板から白血球内に侵入し、その白血球がまずリンパ腺に入ってリンパ節を腫らします。時の経過とともに、汚染された白血球は、リンパ節を離れて血中をめぐり、白血球が体中にウイルスやバイ菌をばらまくのです。なかでも常在菌は自分のおなかに飼っている菌ですから、無害ゆえに、からだのなかのどこにでも入っていきます。
そのため骨休め不足や口呼吸、冷中毒で疲れている人や、酒、タバコの解毒で疲弊している人では、血液がよどみやすい脳の神経細胞や皮下組織、関節や腎臓などで、蛆がわくようにバイ菌の細胞内汚染が始まります。こうなると、その器官の細胞のはたらきがそこなわれるのです。
細胞のなかのどこがそうなってしまうのでしょうか。それは、真核生物(高等動物)の細胞内のミトコンドリア(エネルギー代謝を担当している細胞小器官)です。
真核生物にいるミトコンドリアは、その実、18億年前に寄生したバクテリアであることが明らかになっています。このミトコンドリアは、たとえば脳なら神経細胞、腎臓なら糸球体、膵臓ならインスリンをだすランゲルハンス島の細胞というように、それぞれの細胞の本質的なはたらきを一手に担っています。
この細胞内に腸管由来の好気性菌(喉から)や嫌気性菌(小腸・大腸から)が多数感染したら、ミトコンドリアの酸素やピルビン酸をすべて細菌に横取りされてしまうのです。心臓のミトコンドリアのはたらきが止まると、シアンや一酸化炭素中毒のような即死を招きます。

ミトコンドリアの機能障害が招くさまざまな病気
ある病院で、線維筋痛症と診断された患者さんが激しい筋肉の自発痛をともない、失明寸前の状態で歩くこともできずに、2人の屈強な男性に抱えられて私の研究所を受診しました。ステロイドも無効で、治療の手だてがなかったそうです。
診察してみると、口呼吸と重度の冷中毒が原因で、体温は低く、35・5℃でした。タバコを吸い、冷たい水(4℃)を飲むのが習慣でした。ノーズリフトで美(鼻)呼吸にして「冷たい水とタバコを止めなければ病気の回復はあきらめて、一年以内の寿命を覚悟してください」と伝え、ただちにコウケントー(人工太陽光線)と温熱の照射とビタミン、ミネラルなどを投与し、食生活を正しました。2週間で視力が患者さんの申告で50%回復し、筋痛はほとんど消失しましたが、筋力はすぐに回復しませんでした。
この段階で血液はやはり最悪の酸素不足の状態でした。間質性の肺炎でいくら呼吸しても血液に酸素が入りませんから、酸素吸入が必要です。これは、明治時代の脚気死寸前の状態と同じです。ビタミンB群の完全欠乏では、ミトコンドリアのはたらきが止まって心停止し、死にいたります。
また、50歳代の女性は、踊りの名取りでしたが、足のしびれに気づき進行性筋萎縮性側索硬化症と診断され、足腰が立たずパニックになり、来院されました。検査したところ、血液は完璧な酸素不足でした。酸素吸入で回復しましたが、血中におびただしい細菌類が観察されました。そこで口呼吸を正し、歯周病を治療し、さらに膣洗浄を実施しました。
これまでに私のところにはいわゆる難病とされている患者さんがセカンドオピニオンを求めて来院されましたが、共通しているのは骨休め不足と冷中毒と口呼吸のせいで、自分の腸内細菌によってミトコンドリアの機能障害をおこしているだけなのです。治療法はすべて同じで、原因を取り除けば症状の進行を劇的に止め快方に向かわせることが可能となります。


第6回■冷中毒、口呼吸、骨休め不足の三揃いが「酸欠状態」を招く
ヒトの外呼吸は直接、内呼吸に影響する
肺における血液のガス交換を外呼吸といいます。よくない外呼吸には、口呼吸と浅い呼吸のほか、常時冷たい空気を吸う呼吸があります。これらは直ぐに循環系に悪影響を与えます。その結果、細胞呼吸を行っているミトコンドリアのはたらきも衰えてしまうのです。これが世界中で原因不明とされている難病・免疫病の本態であると私は考えます。
高等な哺乳動物であるヒトのからだは、60兆個の同じ遺伝形質をもつ細胞でできています。個々の細胞は、もともと1粒の細胞で生きている原生動物と完璧に同じシステムで生きており、なお60兆個が共同体となり、一粒の原生動物のごとくに生きています。そのため、ヒトの外呼吸は直接、内呼吸に影響するのです。

冷中毒、口呼吸および骨休め不足が招いた酸欠状態
外呼吸が循環系を障害し、さらにそれが外呼吸を行っている肺や大腸や脳や膵臓から生殖器をいかにして荒廃させるかを紹介しましょう。
50歳代男性で医師でもある頭位眩暈症(めまい症の一種)の患者さんA氏は、既往歴に心筋症、潰瘍性大腸炎、じんましん、不眠、慢性疲労などがありました。さらに口呼吸と冷中毒、骨休め不足により体温が低下して、35・5℃でした。
ノーズリフトを使って口呼吸を美(鼻)呼吸(=横隔膜呼吸)へ矯正し、さらに呼吸体操と保温により、めまいや腸の症状、じんましんは1か月後には治りました。しかしながら、体温も平熱にもどったものの、デパートで長時間、買い物をした程度で下痢と心肺の不調を訴えるので血液を観察しました(今日では皮膚の穿刺で血液を採って、光学顕微鏡とテレビ画像をもちいれば、リアルタイムで患者さんの血液の状態を3000倍に拡大して知ることが可能です)。血球は凝縮し、まとまって重層していて完璧に酸欠状態でした。
さっそくからだを温め、コウケントー(人工太陽光線)を照射し、鼻呼吸体操を行ってから再検しましたが、ほとんど変化が見られませんでした。これは、A氏の永年の「冷中毒」と「口呼吸」と「骨休め不足による過剰の重力作用」で心筋と肺胞上皮と間質細胞が腸の常在菌にびっしりと汚染されていて、数か月間の鼻呼吸トレーニングと保温でも心肺の細胞内感染症が治っていないことを意味します。つまり肺で酸素を吸収しても、肺胞の細胞に感染している好気性菌が酸素と栄養のピルビン酸を全部横取りしてしまうので、赤血球に酸素がわたらないのです。心臓も同様ですからこの状態で重い物を持ったり、長時間歩くと、すぐに心臓が酸欠をきたします。
そこで100%酸素の投与とともに外呼吸を賦活するため、20万倍希釈の少量のアドレナリン(2ml)を粘膜下に注入したところ、にわかに元気が回復しました。20年間体調不良で空腹感がなかったのが、空腹感を自覚するとともに昔のように力がみなぎつてきたそうです。
体力に自信のあるスポーツマンタイプのA氏は「超多忙」と「口呼吸」と「冷中毒」で慢性疲労症状の典型に陥っていたのです。血液を再検しますと、酸欠状態は完璧に解消していました。

難病も光学顕微鏡による血液検査で解明できる
外呼吸の悪い例としては、口呼吸に次いで浅い呼吸があります。正しい呼吸は鼻呼吸・横隔膜呼吸(美呼吸)です。まず腰を立てて姿勢を正し、万歳をして口唇と尿道と肛門をぴたりと閉鎖し、上下の歯を1mm開け、横隔膜を頭側に吊り上げ、同時に胸一杯に肺を拡大します。こうすると吸気時に腹がへこみ、肺が最大限まで拡大します。呼気時には横隔膜をゆるめて重力に従って下ろすだけです。
これにより腹腔ポンプがはたらいて、酸素不足になりがちな腸の門脈に酸素を十分に含んだ血液が行きわたります。腸の門脈の酸欠と重力作用の過剰(骨休め不足)でヒトは簡単に腸がやられてしまいますが、このゆるやかな美呼吸で、からだのすみずみに血液がめぐる循環系に変えることができます。
70歳代の企業の元役員B氏のケースを紹介しましょう。今は画家として活躍している方ですが、30歳代のときにアフリカでクローン病を経験し、小腸を摘出しています。クローン病は「口呼吸」と「冷中毒」で発症することが多いのですが、やはり「冷中毒で口呼吸」だったそうです。
フランスでは心臓発作に襲われ、しばしば心臓と肺が苦しくなり、心臓神経症か過呼吸症という疑いで専門病院や無呼吸症外来を受診しても症状がおさまらなかったそうです。その後、私の研究所を受診されました。開けば医師の指示で毎日冷水をたくさん飲用し、一万歩を口呼吸で歩くのが日課で、よくふくらはぎが痙撃して痛んだそうです。
血液を観察すると最悪の酸素不足です。ただちに100%酸素とコウケントー(人工太陽光線)の照射、さらにからだ全体を温熱照射したあとに、寝ながらの美呼吸体操をしたところ血液は酸欠から回復しました。
この方の場合も心臓と肺の細胞が喉の扁桃からリンパを介して血液に入る好気性の腸内細菌に汚染され、さらに、腸の過冷により腸内の嫌気性菌が白血球に乗って播種されて不顕性の心筋症と間質性肺炎が同時におこっていたのです。こうした難病も、CT(コンピュータ断層撮影)やNMR(核磁気共鳴映像法)などをいっさい使用せずに、60年前からある光学顕微鏡で解明できました。


第5回■「口呼吸」はさまざまな病気を招きます
エネルギーの渦が止まったときに生命はつきる
呼吸の本態は細胞内におけるエネルギー代謝で、これを内呼吸といいます。肺では血液のガス交換が行われていますが、これが外呼吸です。つまり呼吸には、外呼吸と内呼吸があるのです。この両者の仲をとりもっているのが血液であり、血管とリンパ管の心臓循環系です。3者のうち、どれが1つ欠けても生命はおしまいです。なんとなれば、「生命とは、エネルギーの渦がめぐるとともにおこる、生命体のパーツまたは個体丸ごとのリモデリング(新旧の交替=新陳代謝)をしてエイジング(老化)を克服するシステム」だからです。エネルギーの渦が止まると、このシステムも止まって生命はおわりです。そして、この渦がめぐりにくくなるのが、難病である免疫病です。
外呼吸には、息の音がともないます。息の音を支える肺を実際に動かす装置が心筋と舌筋・咀嚼筋・顔面表情筋・嚥下筋・耳小骨の筋肉群と横隔膜筋と胸筋群です。これらは太古の原始型の鰓腺(心臓と同じ筋肉でできた造血巣)から分化し発展した筋肉群です。人でこれらの筋肉がすべて連動して動くのは、せき、あくび、くしやみ、しゃっくり、そして臨終の際の鼻翼呼吸の5種類だけです。
人では外呼吸筋肉の大半が別のはたらきを担う器官に流用されていますから、ともすると外呼吸が不健康になりがちです。息の音が止まっても、心臓の動きが止まっても生命は途絶えます。細胞内の内呼吸は細胞小器官のミトコンドリアで行われますが、このはたらきが止まっても生命はつきます。この小器官内で酸素を使って糖を分解し電子を受け渡してエネルギーの渦がめぐり、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)をつくりだします。この電子の流れが青酸カリや一酸化炭素中毒で止まっても生命はおしまいです。この細胞呼吸のミトコンドリアのはたらきが悪くなると、免疫病になるのです。

人類に特有の口呼吸は構造的な欠陥により始まった
人の外呼吸には、人体だけにあってほかの哺乳動物にはありえない身体上の欠陥があります。これは本来哺乳動物には、あってはならない身体のでき損ないで、人類進化の必然の帰結としての構造欠陥です。この構造的なでき損ないのために、人には野生の哺乳動物ではおこり得ない人類特有の難病、免疫病が発生します。それは口で呼吸ができるということです。
この人類特有の「口呼吸」は、約10万年前から人が「おしゃべり」をするようになったために生じた構造的欠陥によるものです。進化は単純な力学的対応でおこります。骨格の形には「機能適応形態のウォルフの法則」があります。これは、同じ遺伝形質の細胞が60兆個集まってできている身体の各パーツを長期にわたって一定の用途で使っていると、それに適した形に変化するという法則で、「用不用の法則」(ラマルク)の骨格バンです。これにより鼻咽腔にはまり込んでいた気管が縮んで、その連続性が断たれ、口呼吸が始まったのです。

口呼吸を直すことで劇的に治る病気も少なくない
口呼吸では、鼻とのどをぐるりと囲む5種類のワルダイエル扁桃リンパ輪のリンパろ胞のM細胞というところから、雑菌がとめどなく白血球内にとり込まれます。
口呼吸が原因となりうる痛気でなんといっても多いのが、ぜんそく・気管支炎・肺炎です。これらの病気の場合、20年、30年と患って苦しんでいる人でも、1か月の鼻呼吸トレーニングで劇的に治すことが可能です。
また、「口呼吸」をしていると心筋症を患うことがあります。口呼吸の常習者は、身体中に、そもそもは無害なはずののどの常在菌が白血球によってばらまかれ(播種)、人によっては肺と心臓や腎臓や膵臓が、これらのバイ菌に汚染されてしまいます。
この場合、スポーツは禁忌で、治療としては睡眠中も口呼吸を鼻呼吸にかえて心臓を温め、イソジン(うがい薬)でうがいをしてのどを清潔にし、おとなしく静養していれば、バイ菌だらけの心筋はつくりかえられて無菌となり、治ってしまいます。まさに、口呼吸は万病のもとです。


第4回■新陳代謝に不可欠な「睡眠」と「骨休め」
1晩の睡眠で1兆個の細胞が新陳代謝している
睡眠と重力エネルギーから身体を解除する「骨休め」と脳神経のはたらきは密接不可分の関係にあります。脳神経には内臓脳(大脳辺緑系-情動脳)と大脳新皮質の体壁系神経の2種類があります。内臓脳は腸をはじめとする内臓すべての平滑筋運動や性周期を調節し、体壁系神経は外界を感じ骨格筋を動かします。
睡眠は、体壁系神経の休眠をともなう内臓脳細胞のサーカディアンリズム(体内時計の日周性)によるものです。呼吸や心臓の鼓動、吸啜(乳を吸うこと)や咀嚼運動、腸の蠕動も性周期も体内時計も冬眠も、睡眠リズムもすべて究極では、時間の作用に基づいた内臓脳などの遺伝子発現によるはたらきです。
ヒトの成体は60兆個の、もともとは同じ遺伝子をもつ細胞で成り立っていて、一晩で1兆個の細胞がリモデリング(旧くなったものを新しくつくり直すこと)します。細胞のはたらきも形も、すべては遺伝子のはたらきによります。各細胞は、遺伝子の発現により自身の細胞の増殖やリモデリングをします。これが睡眠中に行われるのです。いわゆる新陳代謝です。
動物器官を司る大脳新皮質の神経のはたらきがオフになると、代わって神経細胞自身のパーツの新陳代謝のためにミトコンドリア(エネルギー代謝を担当している細胞小器官)がはたらき始めます。これが睡眠です(神経細胞自体が新陳代謝をしているのを忘れているのが「3時間睡眠」推奨者です)。
き睡眠中と瞑想中には、脳波のα波が大脳新皮質のニューロンのミトコンドリアから発生します。これはニューロンから発する錐体路神経系(随意運動の指令を伝導する)のインパルス(神経伝導)がオフになり、ニューロン自身のリニューアルのためのスイッチがオンになっていることを意味します。それで瞑想にも睡眠と同様、回復力があるのです。体温や睡眠リズムの体内時計、呼吸や循環、消化管や生殖系の筋肉運動を司る神経のはたらきには日内変動によるオン・オフがなくて常時オンのみですが、これらのニューロンのリモデリングは骨格筋のインパルスがオフで心臓に負担のないときだけ行われます。重力作用に抗して筋肉がはたらいている間は、リモデリングはすべてオフになるのです。

重力を解除しないとたとえ眠っても疲れるばかり
今日、ジェット機なら半日で欧米に行けますから、時差ボケが生じます。これは睡眠時間と活動時間の体内時計が半日程ずれるためにおこります。
さて、身体が重力に抗して座っている間は、たとえ脳の新皮質のニューロンが眠っていても血圧が下がらなければリモデリングはうまく行われません。ファーストクラスで8時間身体を水平に保って、位置のエネルギー差をゼロにして、ゆったりと副交感神経を養っていれば、眠っても眠らなくても身体はリフレッシュします。重力を解除する(身体内の位置のエネルギー差をゼロにする)スペースがヒトにとっては価値があるのです。エコノミークラスで8時間座っていては、どんなにぐっすり眠っても疲れがとれません。これは、座位で足の先と頭とでは、位置の差が100cmはあるからです。
ヒトの血圧は正常の場合頭部が常時90mmHgで、心臓部が立位、座位、臥位でそれぞれ130、110、90となります。位置のエネルギーゆえにぐっすり眠って骨格筋肉がゆるんでも、座位では血圧が110になるために心臓ポンプが休まりません。こうなると体中の細胞のリモデリングがうまくいかなくなります。それで座って眠っても疲れるばかりなのです。こうして、ときにエコノミークラス症候群(長い時間、狭い座席に座っていることによって深部静脈に生じた血栓が、肺に飛んでおこる肺血栓症)がおこります。

細胞のリモデリングには睡眠と骨休めの両者が必要
大脳新皮質の神経細胞は骨格筋肉のためのシステムですから、横になって寝ながら考えるだけで背中の筋肉がこりかたまってきます。このときに眠らなくても無念無想の瞑想状態になれば筋肉もこらず、リモデリングします。このように細胞のリモデリングは、重力の解除と大脳新皮質ニューロンの錐体路系、錐体外路系の両筋肉支配の回路の解除という二重のオフが必要です。
重力作用のもとに立位・座位ではたらいている間は、細胞呼吸で産生するエネルギーで骨格筋が身体を支えるために、リモデリングの中心となる血液細胞はもとより血管から筋肉、神経などあらゆる細胞の新生が止まります。骨休めをしてはじめて骨髄造血系のリモデリングの遺伝子が発現します。一日の疲れを回復するには横臥して身体を水平に保ち位置のエネルギー差をゼロにして筋肉の力を解放しなければ、新皮質の筋肉を支配する神経細胞の遺伝子のはたらきをオフにすることも、体細胞のリモデリングに必要なレベルまで血圧を下げることもできません。
ただ、骨休めを成人で8時間続けていても、連日一睡もしない不眠を続けると、脳神経細胞のリモデリングが障害されます。このように神経細胞のリモデリングは睡眠と骨休めの両者と密接不可分の関係にあります。
リモデリングは健全な細胞呼吸によるエネルギー代謝によって維持されます。この代謝は、骨休め不足と寒冷刺激と低気圧のほか不快な音や光刺激などのストレスによって強く障害されます。冷たい物中毒(冷たい飲食物を頻繁にとる習慣のことを、私はこう称しています)で低体温になると睡眠が障害されます。体温中枢も睡眠中枢も同じ内臓脳にあるからです。
冷たい物中毒や骨休め不足で、がんになったり突然死するのも、ともにミトコンドリアの機能低下によるリモデリングの障害が原因です。


第3回■睡眠では「骨休め」が重要です
短時間睡眠は突然死さえ招きかねない
生きていくうえで呼吸と食べることと睡眠は不可欠です。睡眠が健康を保つためにも重要なことは勿論です。「質のよい睡眠を3時間とれば十分で」と唱える人がいますが、睡眠で重要なのは、覚醒していない脳の状態だけではなく、体に対しての充分な重力解除です。エコノミー症候群は、重力解除が十分に行われない時に、足などの静脈に血栓ができ、これが肺の血管をつまらせるために起こります。また、睡眠中に起こる突然死が問題となっています。これは、口呼吸の場合、いびきと無呼吸症を合併するからです。無呼吸は、心臓と同じ呼吸筋肉でできている舌が気道を塞ぐためにおこります。短時間でも5~6時間睡眠なら、かすかに目を覚まして舌を動かして息をつぐことができます。血中の炭酸ガスの濃度が高まると、延髄を刺激して呼吸筋肉の舌を覚醒させて動かすのです。3,4時間睡眠では、あまりにも疲れているため極めて深い眠りに落ちてしまいます。舌の呼吸筋肉が目覚める前に、酸素不足で心臓が止まってしまうのです。心臓は鰓の呼吸筋肉に由来しますから、呼吸運動に従属しています。弱った人や麻酔をかけた哺乳動物では、呼吸が不十分だと、容易に心臓が止まってしまいます。
このように、死んでしまうほど深くぐっすりと眠る睡眠を、3時間睡眠推奨者は「質のよい睡眠」と呼んでいるのです。睡眠とは、脳が休んで眠ることだけではありません。「睡眠とは何か」とか、あるいは「脳や脊髄の神経細胞とは何か」という本質をまったく考えないからこのような話になるのです。神経細胞の本質的なはたらきはなんでしょうか?
神経細胞は、筋肉のシステムのなのです。「筋肉なくして神経なし」の鉄則を忘れたのが元来のライフサイエンスでした。筋肉のない生命体、つまり動物のように動くことのない生き物に神経はありません。一般哺乳動物は4本の足で動いていますが、人はつねに座位、立位で目を覚まして活動をしています。その場合、血圧を高くしないと活動できないので、心臓をはじめとして体全体の筋肉が働いて体を支えなければいけません。鳥も直立二足歩行するものもいますが、多くの鳥はからだの密度が極端に小さくて空気のなかを浮くようになっていますから、直立で眠っても人とは違って大丈夫なのです。眠るということは、体壁脳(からだの筋肉の脳)の神経細胞の活動がお休みしたということです。休むと筋肉の力が瞬時に抜けるのです。これに対して呼吸運動や心臓の拍動運動の内臓筋肉を司る内臓脳(大脳辺縁系)は、眠っている問も休むことはありません。

人には位置のエネルギーからの解放が必要
これでおわかりのことと思いますが、人の睡眠は、犬や猫のそれとは違うのです。何が違うのかというと直立で活動すると、5kgの頭と40kgの胴体を1.5m以上持ち上げるのに膨大な位置のエネルギー(地球の重力作用による)が人には必要です。これをまかなうのが、筋肉内にあって、生命活動のエネルギーを生みだしているミトコンドリアです。人の睡眠は、位置のエネルギーから解放される「骨休め」と切っても切れない関係にあるのです。それで短時間睡眠で人は命を落とすことがあるのです。
今から40年前頃カラーテレビがではじめ、土地ブームで農家が潤っていた頃の話が思いだされます。働き盛りの若者がばたばたと突然死したことがあり、しばしば新開記事になりました。あるとき、これを調査した学者の結論がでていました。
突然死する農家の若者の生活スタイルはみな決まっていて、夜中の1、2時まで、当時はまだ一般に普及していなかったカラーテレビを見て、4,5時起きて農業に従事していたのです。当時は頭脳を使わない肉体労働には睡眠は必要ないという考えが一般的でした。友人のキャバレーの経営者は、いつもブラブラしているのだから睡眠は3,4四時間でよいといっていましたが、50歳にして脳内出血で死んでしまいました。
また、70歳の女性が「眠れないので30年間睡眠薬を服用していますが大丈夫でしょうか?」と青みがかった酸素不足の顔で受診されました。「この年では、眠らなくてもラジオを聴きながら8時間骨休めをすれば問題ありません。睡眠剤は少しずつ減らしましょう」と1か月かけて薬の減量を指示しました。1か月後に顔色良好になってニコニコして来院しました。
骨休みを怠ると免疫力が低下しますが、これは、ヒトが寝ている時には立位よりもはるかに血液が下がり、下がった時だけに胸腺でできるたった3%のTリンパ球が働くためです。座位や立位の血圧では、胸腺で分化するリンパ球は97%が他の白血球と反応してすべてアポトーシスを起こして消滅してしまうのです。短時間睡眠の方がガンや免疫病になりやすいのはこのためです。

第2回■歯ぎしりとその直し方
歯ぎしりとは、歯が噛み合ったまま大きな力で顎をずらす時に、歯と歯がきしんで音が出る状態をいいます。
完全に安静状態が保たれていて、リラックスして眠ったり、憩っている時は、上下顎の歯と歯の間が1㎜ほど開いた状態で、口唇を閉ざして鼻呼吸をしているのが理想です。これに対して口で呼吸をしたり、あるいは硬い枕で横を向いて眠ったり、考え事をして緊張したりしていると歯を食い縛ることがあります。これは、咀嚼筋・表情筋・嚥下筋・舌筋群など、顔と口・顎を構成する筋肉群が元来すべて心臓と同じ鰓の内臓呼吸筋肉に由来するため、緊張すると痙縮して蠕動運動に近い噛み合せ、くい縛り運動を反復性に繰り返すためです。殊に睡眠中のこの運動は、起きている時の交感神経の過緊張(ストレス)をそのまま睡眠に持ち込んでいる時に起こります。硬い枕で横向き寝をすると必ず下顎の歯の一部が、上顎の一部の歯に斜めに当たり、不均衡な片側のみのくい縛りが発生します。この時に起こる音が歯ぎしりです。
横向き寝の口呼吸では必ず顎の蠕動運動(咀嚼運動)を発生します。歯ぎしりを防ぐには先ず、鼻呼吸・横隔膜呼吸で副交感神経をゆったりと養い、上向き寝で内臓に偏った力をかけないようにし、やわらかい枕で頭位が1㎝位になるようゆったりと頭を沈めます。そのようにすると、上下顎の安静位(歯と歯の間が1㎜位開く状態)が保たれ、鼻腔から気管に至る気道がほぼ一直線に保たれ、最も安定した呼吸の下に安眠することができます。
通常、鼻呼吸を行っている人は睡眠時に、唾を飲み込むことにより口腔内が陰圧になり、舌先が前歯部に吸いつき、気道が広く保たれています。気道を確保するためには、口唇を閉ざす必要があります。歯ぎしりをする人は口呼吸習慣があるため、睡眠時に前歯部に吸い付いていた舌が離れて、舌根がのどに落ち込む結果、しばしば無呼吸症を合併します。
歯ぎしりの防止には、睡眠姿勢を正すことが重要です。完全に口を閉ざした状態の鼻呼吸とともに、気道を真っ直ぐに保つ上向き寝と、自重(自分の頭の重さ)によって顎や歯型をつぶさない軟らかいダウンふわふわ枕が必須となります。
極端な短時間睡眠では、安定した睡眠姿勢を保つことができません。歯ぎしり防止には、少なくとも、7時間から8時間の睡眠が必要です。寝る前にゆったりした呼吸体操を行い、副交感神経を養ってから安らかな睡眠に入りましょう。
片噛み習慣による顎の歪みや顎のねじれは歯ぎしりの原因になりますから、ブレストレーナーを使用して咬合矯正を図り、強制的に口を閉じさせることにより鼻呼吸習慣を身につけることをお勧めします。ブレストレーナーを使用すると、扁桃リンパ輪の免疫活動が活性化され、免疫物質が唾液や洟と涙にたくさん出てきて、体の細胞呼吸が活性化され、健康の維持・増進につながります。

第1回■無呼吸症(無呼吸症候群)
鼻(美)呼吸のすすめ いびき・歯ぎしりは健康の落とし
舌は口唇を閉じていると、嚥下時(飲み込む時)の陰圧で 上顎の前歯部と口蓋部に吸い付いています。そのため、鼻と気管の気道が充分に広く保たれています。口を開けて(口呼吸)寝ると陰圧でなくなるため、前方に保たれた舌が支えを失い、舌根が気道を塞ぎます。すると、口からの空気の出入りに従って軟口蓋(のどちんこ)が震えて音がします。これがいびきです。この時高い枕を使用していますと、ますます舌根がのどに落ち込んで気管を塞ぎ、気道が狭まり、激しいいびきとなります。

最も危険なのが、舌が完全に気道を塞いでしまった時に起こる無呼吸症です。無呼吸症は音はしません。気道が塞がれ、息が止まってしまうと、脳の血中の酸素不足で苦しくなり、かすかに目を覚まします。眠りが浅いと苦しさで目が覚め、舌根を動かして息を通しますが、3~4時間の短時間睡眠を続けていると、目を覚まして息を継ぐ前に心臓が止まってしまいます。過労によってあまりにも深く眠ってしまっているためで、これが過労死・突然死で、主に睡眠中に起こるのはこのためです。呼吸が止まれば心臓も止まるのは、心臓がエラの呼吸筋に由来するからです。
いびきをかく無呼吸の人の眠りは浅く、一晩で何十回となく目を覚まします。その上、口呼吸のため扁桃リンパ輪が常在菌の不顕性(はっきりしない)の感染で慢性の風邪症状になりますから、いくら寝ても疲労感が取れません。

いびきを防止するには、舌根が気道に落ち込まないように正しい鼻呼吸をしなければなりません。鼻呼吸のためには、充分な気道の確保が必要です。そのためには鼻腔と気管をつなぐ気道をほぼ一直線にする必要があります。まっすぐに寝ると、おとがい舌骨筋と口輪筋がバランスして、口も閉じやすくなります。ふわふわの羽毛のような頭の重さを均等に吸収する枕を使用し、上を向いて寝ればすやすやと眠れます。横向きで寝ますと、下側の鼻が詰まって口呼吸となります。いびきの音は横向き寝で小さくなりますが、口呼吸の弊害は増大します。更に、咬み合わせが不均衡になるため、しばしば歯ぎしりを生じます。歯ぎしりは呼吸筋肉由来の咀嚼筋群の痙攣ですから、寝ている時も、体を休めて疲労を回復させる副交感神経を活性化することができません。歯ぎしりは交感神経の緊張のため、白血球が顆粒球に分化し、免疫力を低下させます。
ノーズリフトで先ず充分に 空気を取り込み、噛み合わせのねじれの防止と舌根の落ち込み防止にはブレストレーナーを用い、美呼吸テープで口唇を閉ざすことにより、完全な鼻呼吸の実行をお勧めします。 気道の確保にはダウンふわふわ枕をお使いください。

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