西原ワールド アート医研

第3回日本免疫病治療研究会/平成14年2月23日(土)


「これからの医療は統合医療になる」JACT理事長 渥美 和彦

相補・代替医療は近代西洋医学以外のものをいう。これには、中国医学やアーユルヴユーダなどの伝統医学、指圧、マッサージ、カイロプラクティツクなどの用手療法、食事療法、薬草、健康栄養食品、気功、手かざし療法などの生体エネルギー、あるいは、精神心理療法、バイオフイードバック、芸術療法など心身相関の分野がある。米国ではNIHが中心となり、米国の各大学と相補・代替医療を推進しているが、ヨーロッパにも、再認識の気運が高まり、世界の各国で会議が開かれている。さらにWHOが発展途上園における伝統医学を重視し、相補・代替医療をすすめている。最近の傾向は、統計学的な西洋医学から、患者中心の医学へと発想の転換が行われつつあり、いわゆる統合医療への方向が世界の医療の流れとなっている。



「光線療法の実際およびその理論」- 創傷治癒について - (財)光線研究所附属診療所 所長 黒田一明

光線療法の前身である日光療法の歴史をみると、古代から日光の熱と光は外傷、化膿、火傷、腫瘍、骨折などの傷の治りを良くすることが指摘されている。この効果は近代の人工光線療法においても同様の効果である。当所のカーボンアーク灯による光線療法は七十数年の治療実績から創傷治癒を促す優れた効果があり、その作用は光線の連続スペクトルが関係している。波長の短い紫外線には殺菌、免疫調節、ビタミンDの産生の各作用があり、またビタミンDと可視戦には角化細胞、線維芽細胞の分化、遊走作用がある。ヘモグロビンは可視光線を吸収してぞうかし色がよくなり、細胞内呼吸を活性化させる。波長の長い赤外線はその深部温熱効果によって全身並びに患部の血液循環を改善させる作用がある。
傷の治りの悪い人はこれらの光と熱のエネルギー不足があり、光線治療はそのエネルギーを補充することで連続スペクトルの各作用が総合的に作用して創傷治療を促すことになる。



「波動医学の実際」予防科学研 所長 梅田達也

一般に、電子の運動にともなって「電磁場」ができる。そこに発生する超微弱な波動は共鳴によって原子、分子、細胞、組織へと伝わり、そこにそれぞれ固有の「共鳴磁場」を形成する。
種々の原因で、電子の運動に基づく次期の共鳴関係が破綻すると、原子から分子、さらに細胞への秩序だった情報伝達が混乱、崩壊し、その結果異常な生理状態が起こる。これがビョウキの第一段階と考えられる。目的とする箇所のコード化された標準波形と比較し、正常異常状態を+21から-21の43段階で解析するのが微弱磁場測定装置MIRS(Magnetic Inspired Resonance Spectrum)である。これにより、病気の早期診断・治療が可能となり、また水、薬剤、化粧品、食品等の生体と相性、農薬の有無の判定などの利用することができる。



「アホロートルとゼノップスの陸上げ後の自律神経系の変化」新潟大学医学部 安保 徹

アホロートルとゼノップスの陸上げによって血液中の白血球パターンがどのように変化するのかを調べたいずれにおいても陸生のものは水生のものより、リンパ球が減少し好中球が増加した。しかし期待に反して、血中カテコールアミンの測定では、陸生にした ものでカテコールアミン濃度の低下が認められた。
陸生は重力適応が必要なので血中カテコールアミン値の上昇を期待していたが結果は逆であった。カテコールアミン以外の物質で重力適応を行うのであろうか。
もう一つの問題は、水生は元気よく泳ぎまわっているのに、陸生のものはいつもじっとしていることである。むしろ活発な生き方が阻害されているようにも見えた。



「うつ病及び慢性疲労症候群(CFS)」東京女子医大教授 田中 朱美

精紳疾患の中で恐らく最も多いうつ病について、主に身体症状を挙げると、凝り症状、胃腸症状(食欲不振、体重減少、下痢、便秘)、自律神経症状(めまい、嘔吐、頭痛など)、寝起きの悪さ、日内変動、易疲労、倦怠感などであり、抑うつ気分、意欲低下、無気力、興味関心の喪失などの症状である。東洋医学的にみていくと、冷えの多いことに気付く。また、うつ病の一つのタイプである季節連関性気分障害では、光療法が有効である。
一方、慢性の疲労倦怠、その他多くの症状を訴えながら、検査には異常がないために診断がつかず、数年から10数年も経過している慢性疲労症候群(CFS)は、原因には感染症説、免疫異常説などがある。症状は、うつ病の身体症状と共通するものが多く、また、東洋医学にみると、冷えが非常に大きな病態となっている。
この類似する二つの疾患の病態、治療法などについて、問題提起したいと考えている。



「子育て再考~ほんとに必要なのは知識より智慧~」国立療養所下志津病院小児科 向後 利昭

家族は社会の縮図だと言いますが、現代社会も家族も、知識を重視しすぎて人間本来の「智慧」を失ってしまったことが、最大の問題だと考えます。勿論知織のないところに智慧は生まれませんが、母親が育児書や巷の育児情報などを真に受け、「こうならなければならない」などと考えすぎていることが多すぎます。国連総会は1994年を国際家族年と定め、「家族からはじまる小さなデモクラシー」をそのスローガンとし世界各地で様々な活動が展開され、家族を取巻く問題と対策を探っています。日本でも「家族危機」が叫ばれ、乳幼児虐待、子どもの犯罪、不登校、いじめ、自殺など様々な社会問題が顕在化してきています。現代日本の家族機能は、核家族化や一人っ子などの構造的変容や、親子、兄弟などの役割機能の変化に伴い崩壊しつつあります。以上のことより親と子の絆づくりを考えるにあたり、「子育て」という家族機能の改善が大きな要素で有ると考えられます。



「動ごく舌および冠動脈の発生と錐体路・交感神経の発生」国立西埼玉中央病院循環器内科 上田 貴文 / 西原研究所所長 西原 克成

系統発生において原始脊椎動物で心臓が発生するのは、源の原索類ホヤで、舌が発生するのは円口類からである。ホヤは単体節動物でこれが多体節化して一個体となったのがナメクジウオである。これには一鰓弓に一心臓があり、心臓が鰓腺に由来することがこれで解る。
円口類の鰓腺は総て心臓の如くぐにゃぐにゃと動ごく。心臓も含めてすべての鰓腺は薄い軟骨で覆われている。この軟骨が次の棘魚類で鰓弓軟骨になる。この後裔が有顎類の鮫で鰓の最後端の中央に囲心腔に囲まれた鰓心臓があり、心臓から鰓中央に左右の血管に分岐した動脈が頭進し、鰓腺心のなごりを止めている。
鰓弓軟骨が扇の要の如くに集合して動く軟骨を束ねているのが、サメの動かない舌である。舌自体は動かないが、鰓弓軟骨は舌で束となって鰓腸内臓筋の蠕動運動によって扇を開閉するごとくに動く、これか鰓弓が舌骨に退縮した後の舌筋になるから、舌筋は心臓と同じ鰓腸内臓筋に由来する。
サメには交感神経系が無く錐体路系もない。上陸劇で重力が6倍、酸素が30倍、生活媒体が水の千分の一の重量の空気に変化し比熱が最大の水から極小の空気に変わる。サメが水を求めてのたうち廻ると血圧が上がり、流動電位が上昇すると、皮膚と各鰓器を構成する細胞が酸素、乾燥、温熱・光刺激との複合で自動的に遺伝子発現して細胞が化生metaplasiaを起こして別の組織や器官になる。
サメの陸上げ実験でつぶさに肉眼的変化が観察される。また組織学的な変化は、アホロートルの陸上げ実験で観察され、動く舌の発生とともに軟骨が化骨し、養う血管の無かった心臓に冠動脈が発生する。この研究で、従来交感神経の節前繊維とされていたコリン作動性の自律神経系は、副交感神経に分類を変更しなければならないことも明らかとなった。
中胚葉性の神経系が血管運動神経とともに上陸劇で発生する。これがアドレナリン作動性の交感神経系である。



「Oリング診断による21世紀の治療医学」日本バイ・ディジタルO-リングテスト協会副会長  下津浦 康裕

バイ・デイジタルO-リングテストの基本現象は、脳循環と手及び指の握力と病的圧痛の研究の最中1977年に発見されました。この現象は体のどこに異常があってもその部分に軽く触れると頭の毛1本でふれても、触れられた人の親指ともう1本の選択された指で作ったO-リングが簡単に開き、その開く程度及びいくつかのO-リングが開くかは、その病的異常の程度にほぼ比例しています。また、2つの同一物質間の強い共鳴現象の発見により、ウィルス、細菌等の物質の局在や量及び臓器イメージングが簡単に出来るようになり、O-リングテストで疾患の推定をしてから、西洋医学的なCT、レントゲン、腫瘍マーカー等の血液検査で確定診断をしますので、効率よく診断できます。また、薬剤適合性試験では、薬の適量や、血液検査の結果が出る前の緊急時に、薬を処方して対応することができます。O-リングテストは、21世紀に自分の身を守る予防医学・未病医学として貢献していけると期待しております。



「新しい免疫学の樹立」西原研究所所長 西原 克成

生命現象は、「燐脂質の半透膜に境された、水溶液内における固相・液相・気相の質量のある物質のコロイドで、時間の作用によるエネルギーの渦の廻転とともに起こるリモデリングによって個体のパーツのエイジングを克服するシステムである。個体丸ごとのリモデリングが遺伝現象であり、通常は生殖を介する」。地球には大略3種類の生命が存在する。原核生物(プロカリオータ)、真核原生 生物(ユーカリオータ)と多細胞生命である。
生命はエネルギーの渦を廻すのに、生活媒体から高エネルギー物質(栄養)を体内に取り込み、それを分解して出る力を使う。生命の外から作用するエネルギーで生命力の渦は強く影響を受けるが、原核・真核原生生物は重力エネルギーや温熱エネルギー(4℃~40℃の間)の影響を殆ど受けないのに対して多細胞生命は、強い影響を受ける。1個の細胞内への栄養の取り込み法もこの三者で異なる。原核生物はメデューム内の栄養を直接吸収して生命力の渦を廻す。真核生物はメデューム内の栄養を直接吸収するほか食胞として取り込んで消化して使う。直接吸収する物質は、細胞小器官のミトコンドリアが消費して呼吸の代謝を廻転する。ミトコンドリアは真核生物に寄生した好気性の原核生物で呼吸すなわち酸化的燐酸化を行い、TCAサイクルを廻す。多細胞生命は、食べたものを腸で消化して、血液がこれらの栄養を各細胞に運び、各細胞が血液から直接使える栄養を吸収してミトコンドリアが使うほか、ピノサイト-シスで吸収して細胞で再消化して消費する。多細胞生命は血液が運んできたものを細胞レベルで再消化し細胞呼吸とともにリモデリングに供する。この力が細胞の生命力であり、病気に克つ(疫を免れる)力すなわち免疫力なのである。細胞呼吸のミトコンドリアの障害はただちにコラーゲンと軟骨と骨形成の障害につながるとともに、リモデリングの障害を発症する。これが免疫病である。VB1の完全欠乏では、心臓のミトコンドリアの機能が停止して即死する。脚気心臓がこれである。
骨性の脊柱と腸管呼吸器を持つのが脊椎動物の特徴であるから、細胞呼吸と骨髄造血発生の謎を究明すれば脊椎動物の謎は一気に明らかとなる。
細胞呼吸の酸素の担体(vehicle)は赤血球であり、この発生は元来が腸管である。これが骨格器官の骨髄腔に移動する原因子を究明すると免疫系の謎も解ける。演者はこの原因子が重力エネルギーへの生命の対応による血圧上昇に伴う流動電極の高まり(1.5μA→10μA)にあることを人工骨髄造血装置を開発して、モデル研究で明らかにした。その結果免疫病が質量のない物質エネルギーの摂取の仕方の誤りとエネルギー代謝の要の外呼吸の失敗による雑菌の不顕性感染によることを明らかにするとともに、細胞呼吸の要のミトコンドリアの代謝が腸管の栄養吸収系の障害と常在菌等の不顕性感染によることを世界に先がけて解明した。これにより乳児の離乳食アレルギー(抗原性を有する蛋白質による乳児のアトピー皮炎)発症の謎も、母乳によるアトピー発症の謎も究明された。ミトコンドリアが原核生物(プロカリオータ)と同じシステムの寄生体で、このものの遺伝子は共役因子(ATP ase)とそれを支える支持構造蛋白質のみを合成する系しか持ち合わせていないこと、不可欠脂肪酸と副腎皮質ホルモンおよびコレステロールの合成と代謝がすべて呼吸系のCo-Aからミトコンドリアにおいて合成されるという事実に着目したことが、アレルギー発症とリモデリングの障害の発生すなわち免疫病発症の謎の究明につながったのである。副腎皮質のグリココルチコイドもミネラルコルチコイドも髄質のカテコールアミンもともに細胞小器官ミトコンドリアがターゲットである。多細胞生命の基礎は真核生物細胞にありその代謝の源は原核生物の呼吸系つまりエネルギー代謝に存在しているのである。免疫病とは外から作用する重力・温熱・光エネルギーの不適と腸粘膜を通って血中に入って来る寄生体(細菌・ウィルス・原虫・寄生虫等)、蛋白質、ホルモン、アミン、抗生剤等薬物、毒物(排気ガス)等によってミトコンドリアの呼吸機能が障害され、細胞レベルの生長・発生・リモデリングが障害されたものを言う。